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『有期契約』の労務管理の解説で触れた【無期転換ルール】
有期雇用の方は知っていると知らないとでは大違い。
会社も無期転換労働者の労務管理を新しく考える必要があります。
ここでは詳しく解説していきます。
令和6年4月からの有期雇用契約を締結する時には以下の3項目を明示することとなります。
1,就業場所・業務の変更の範囲
採用時点で想定される変更範囲を記載すること
2,有期契約の更新上限の有無と内容
更新に上限があれば記載すること(通算〇年、更新回数〇回など)
3,無期転換申込機会・無期転換後の労働条件
契約期間が通算5年を超えてて無期転換をしていない有期労働者に対して、
契約更新の都度、無期転換申込権があることを記載すること。
また、有期⇒無期になる以外の労働条件が変わるならばその内容を記載すること。
同一の法人で一回以上の更新をした有期契約社員が通算5年を超える雇用契約をした時、その雇用契約が終わるまでに無期転換を申し込んだら、次の雇用契約は期間の定めのない契約となります。これを『無期転換ルール』といいます。
「同一の法人」ですので、基本的にグループ間の転籍は該当しません。ただし、吸収合併や事業譲渡などで全く同じ労働条件で転籍する場合は労働者からすれば通算されないのは不利益に感じるかもしれません。その場合は会社と労働者でしっかり話し合いお互いに合意する必要があります。
また、登録型の派遣社員の場合は派遣元が雇用主ですので、派遣元との雇用が通算5年を超えたら無期派遣社員という新しい雇用区分となります。派遣元は、派遣先が決まらない期間に対しても派遣元は雇用しているのでお給料を支払うこととなります。
雇用契約は一回以上更新する必要があります。労働基準法では雇用契約は原則3年までとしていますので、下の表の契約期間が3年の場合のようになります。
上図のように途切れることなく契約してない場合もあります。例えば、繁忙期だけの雇用、イベント時の雇用といった短期間や日雇などもありますね。この場合の通算方法ですが、短時間の雇用期間を足していき30日で1か月とします、それをずーーっと足していくわけです。これが「通算」と言われる理由です。会社側の雇用管理がすごく大変になりますね。。
今後は雇用契約の締結時に自分が無期転換申込権を持っているかどうかが分かりますので、申込みが増えると予想されています。
労働者から無期転換の申込をうけたら会社は拒否することはできず、自動的に次の契約から無期転換となります。
原則は労働条件は変わらず雇用期間だけが有期→無期に変わるものなのですが、就業規則で他の労働条件も変更する旨を定めておけば変更することもできます。
無期転換社員は、正社員でも有期契約社員でもない雇用区分となります。ご注意いただきたいのは、雇用の終了がないことです。正社員と同じ定年制度を導入しておく必要があります。
この無期転換ルールの対象外は、公務員と同居の親族のみを使用する場合だけです。
つまり、雇用されて働く人のうちの有期雇用契約をしているほとんどの労働者が適用されます。
有期雇用の名称は様々で、パート・アルバイト・嘱託・契約社員・非常勤・研修生などたくさんありますが、とにかく有期雇用者であれば対象です。外国人技能実習生も対象です。
正社員の場合、定年を迎えて再雇用となる方が多いと思います。
この再雇用もほとんどが有期雇用であるため5年を超えると無期転換申込権が発生します。
無期転換するとまさしく終身雇用。定年はなんだったのか?となってしまいます。
そこで定年後再雇用については無期転換申込権が発生しない特例制度があり労働局長の認定が必要です。70歳を超えた高齢者で働いておられるのが当たり前の世の中になった今、高年齢者雇用についても会社は制度設計しなくてはいけません。
有期雇用者・無期転換者の雇用管理やそれに伴う制度設計について実績のある当事務所にお気軽にお問い合わせください。
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