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会社を退職・解雇されたとき、次の就職先が決まっていない場合は生活費に困ってしまいます。
会社を辞める理由は様々ですが、
自分から退職を申し出た場合かどうかで給付内容が違います。具体的に見ていきましょう。
※分かりやすく概要を記載していますので、個々の事情に当てはまらないケースもありますことをご了承ください。
何らかの理由で自分から退職を申し出ることを「自己都合退職」と言い、離職理由の多くがこの理由です。
家庭の事情、人間関係によるストレス、仕事がしんどい、やりたい仕事ではない などの様々な理由がありますが、勤務中に雇用保険料が給与控除されていた場合は、雇用保険から『失業手当』が支給されます。
『失業手当』は退職前6か月の平均賃金日額などから計算され、だいたい退職時給与の5~8割ですが上限規制があります。
ハローワークで確認することもできますしネットで計算してくれるツールがあるので事前に確認しておいてもいいかもしれませんね。
離職票を持ってハローワークで手続きをすれば、その日から7日間が待期期間とそこから2か月の制限期間は『失業手当』は支給されません。その間はハローワークで求人を紹介してもらったり職業訓練などを受講することとなります。2か月の制限期間が終了してもすぐに『失業手当』が支給されるわけではなく、その日から30日ごとの失業認定を経てからの『失業手当』振込となります。
退職日から初回の振込までは4か月程度かかりますので「失業手当がもらえるから大丈夫」と貯金なしで退職してしまわないように注意しましょう。
※2025年をめどに2か月の制限期間を1か月に短縮する方向で政府が調整に入っています。また、教育訓練などでリスキリングしている場合は更に短縮される可能性も。
スキルアップすれば転職しやすい環境になっていくと同時に、企業では人材流出を防ぐために人材育成・社員教育に注力することが求められていきます。
何らかの理由で勤務するのが難しくなった場合は、「特定受給資格者」「特定理由資格者」と呼ばれるもので以下のような理由で退職した者が該当します。
*会社が倒産した
*事務所が移転して通える距離ではなくなった
*給料の未払いが発生した
*大量に社員が離職した
*労働条件が契約と違う
*解雇
*会社から退職するよう勧められた
*有期雇用で更新を希望したにもかかわらず契約満了で更新されなかった
*健康上の問題
などなど。
他にも細かく理由が列挙されておりハローワークのサイトで確認することができます。
自分から希望していない退職の場合は、「自己都合退職」より失業手当が手厚くなっています。
それは、自分で退職を決めたわけでないので再就職先を決める期間がなく生活に困ることが考えられるためです。
失業手当の給付額は「自己都合退職」と同じですが、2か月の制限期間がありません。そのため7日間の待期期間を経て30日後に失業認定がされれは失業手当が振り込まれます。さらに給付日数が「自己都合退職」より多いです。
失業手当で大切なのは、まず「離職理由」です。
この理由によって2か月の制限期間の有無が決まるため、「いつから」失業手当が支給されるのかが決まります。
また、この「離職理由」によって「何日分の失業手当が支給されるのか」が決まります。
給付日数一覧は以下のとおりです。
自己都合退職の場合 | 被保険者であった期間 | |||
1年未満 | 1年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 | |
全 年 齢 | ー | 90日 | 120日 | 150日 |
特定受給資格者または | 被保険者であった期間 | ||||
1年未満 | 1年以上 | 5年以上 | 10年以上 | 20年以上 | |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ー |
30歳以上 35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳以上 45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳以上 60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳以上 65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
また、就職困難者、65歳以上の高年齢求職者、日雇いなどの短期雇用者は上記とは別の給付内容となります。
ハローワークに行くと、掲示板に職業訓練の案内がおおく掲示されています。
無料で受講できる講座が多くあり、人気のある講座はすぐに満席となってしまいます。この受講歴は失業認定の要件である就職活動にカウントされるため、資格や技能を習得して再就職をしたい方にはおススメです。
職業訓練を受ける期間に手当が支給されるものもありますので、求職者支援のサイトをご紹介します。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/index.html
『失業手当』は「就職しようとする意志があるにもかかわらず就職できない人」が対象であり、病気やけがの治療や育児のため、家事に専念するなどですぐには就職活動ができない場合は対象外となります。
『失業手当』を受け取れる期間(「受給期間」)は1年間ですが、上記のような理由の場合は、1年間を超えて最長3年間まで延長することができます。
また、退職後に事業を始めた方が事業を行っている期間についても同様に1年を超えて最長3年間まで延長することができます。3年で廃業した方の救済措置と言えるでしょう。
受給期間の延長はいずれも事前に届け出ることが必要です。
就職する予定がないのに『失業手当』を受け取っていた場合や、失業認定に虚偽の申請をした場合などは不正受給となります。
以後、手当を受けることができなくなるだけでなく返還を命ぜられます。さらに受け取った金額の2倍の金額での返還も追加で命ぜられることとなるため、受け取った金額の3倍の返還となってしまいます。(いわゆる「3倍返し!」)
当事務所では従業員の雇用保険手続きに詳しい社労士が承ります。
初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
※個人の失業手当の手続き代行は行っておりません。
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