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「労働保険」はあまり聞くことがないかもしれません。
具体的にどういうものでしょうか?
ここでは「労働保険の基礎」をお話します。
労働保険は労災保険と雇用保険の二つを言います。それぞれについて解説していきます。
※分かりやすく概要を記載していますので、個々の事情に当てはまらないケースもありますことをご了承ください。
「労災」とは労働災害の略です。
文字通り、労働が原因のケガ・病気に対する保険を言います。
一番分かりやすいのが仕事中にケガをして治療をした場合、病院での治療代は健康保険ではなく労災保険を使うことにより治療代の全額を労災保険が負担してくれます。
また、療養で仕事を休んで収入がない場合には休業給付、障害が残ったときは障害給付、亡くなってしまった場合は遺族給付など、様々な給付を受けることができます。
また、労働している時ではなくその仕事を辞めた数年後に過去の業務が原因で発病してしまった場合にも、労災認定を受けるケースがあります。代表例は石綿(アスベスト)で40年の期間が設けられています。
近年では長時間労働による精神疾患(うつ病)で自殺したケースも労災認定されています。
企業は従業員が1名でもいれば加入しなくてはいけないですし、従業員が生命や健康を脅かされない安全な環境で仕事ができるように環境整備をする義務を負っています。
さらに業務中だけでなく通勤中のケガについても同様の保険給付を受けることができます。
雇用保険は「失業保険」でご存知の方も多いのではないでしょうか。
労働者側ですと、退職して次の仕事を探すまでの生活費として受給できる「失業給付」が代表的ですが、他には育児や介護で仕事を休んだ時の給料の3分の2を受け取れる「育児介護給付金」、資格取得のための講座受講料の一部を受け取れる「教育訓練給付金」などがあります。
失業者に対しても様々な職業訓練があり、就職のためのスキルアップ機会も設けています。
会社側ですと、各種助成金が挙げられます。
雇用維持のための「雇用調整助成金」、人材活用のための「キャリアアップ助成金」、仕事と家庭の両立を支援する「両立支援助成金」などです。
特にコロナ禍では「雇用助成金」の特例措置で手続きが簡素化され多くの助成金申請がありました。コロナに限らず災害の被害を受けられた地域においても特例措置がおかれることもあります。
労働保険は業種によって保険料率が違うのが大きな特徴です。
労災保険は事業の内容によって保険料率が細かく決まっています。つまり、業務災害が起きやすい仕事は保険料率が高いのです。最も高いのが「金属鉱業、石炭鉱業」次に高いのは「林業」です。逆に最も低いのは「金融業」「通信業」などです。
労災保険料は会社が全額負担します。
雇用保険は以下の要件を満たす労働者は被保険者となり、保険料の一部を従業員が負担します。
・雇用期間が31日以上であること
・週の所定労働時間が20時間以上であること
建設業や農林水産業の一部とそれ以外で保険料率が異なっています。
給与額に保険料率をかけて雇用保険料として毎月給与天引きされます。
労災保険料と雇用保険料は一年分を計算して申告し納付します。年間の人件費に保険料率をかけて算出します(給与天引きされた雇用保険料はここに充当されます)。
毎月納付する社会保険料と違って、労働保険料は年間保険料のため金額も大きくなりますので3or4回の分納が申請できます。
納付義務は会社にあり、毎年必ず保険料を納付しなくてはいけません。
社会保険と同様に、労働保険を完備していることは従業員を雇う上で重要な福利厚生であり必須となっています。
☆☆☆2028年をめどに雇用保険の加入要件を週の所定労働時間を20時間から10時間に引き下げる方向で政府が調整に入っています。さまざまな給付金・助成金の財源確保が狙いと考えられます。
実際には企業や従業員の状況によって対応は様々です。
法改正も頻繁に行われるため企業の担当者にとって手間のかかる業務でもあります。
当事務所では労働保険に関するご相談、手続き代行を承ります。
また疑問に思うところだけを気軽に相談できるような
『メール顧問』というプランがございますので、自分で調べる手間を省きたい方はぜひご検討ください。
初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
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